
FE 400-800mm F6.3-8 G OSS(SEL400800G)にレンズプロテクターを組み合わせるとピンボケしてしまう問題
近年、超望遠ズームレンズの高性能化が進む中、2024年に登場したソニー製「FE 400-800mm F6.3-8 G OSS(SEL400800G)」は、手の届く価格帯と高い解像度で注目を集めています。
私も、野鳥撮影用にカメラを新調し、「SONY α」と同レンズを導入しました。ところが、何度撮影してもピントが甘く、解像感のない写真ばかり。調べた結果、原因は意外にもレンズプロテクター(MARUMI DHG Super レンズプロテクト)にありました。これを外したところ、見違えるほど解像感が改善されました。
野鳥撮影用として人気の高い「FE 400-800mm F6.3-8 G OSS」。
せっかく購入したのに「思ったより写りが悪い……」と悩んでいる方の参考になれば幸いです。
AFは適切に合焦しているのに、ピントがズレる
最初に異変に気づいたのは、解像の良さに定評のある「FE 400-800mm F6.3-8 G OSS」で撮ったはずの写真が、拡大するとどうにもピリッとしないこと。
約1000枚ほど撮影しましたが、AFの位置がたとえ瞳にしっかりきていてもピンボケのような状態に。
写真の全体で見るとそれなりに写っているように見えるのですが、拡大して目元などをチェックすると明らかにボケています。
特に顕著だったのが、
- 頭部や目元を拡大して見たときの“にじみ”
- 撮影した鳥の前後にピントが抜けてしまう現象
- 静止している大型の鳥でさえピントが後ろへズレる
という現象でした。



設定・機材の見直しあらゆる条件を試す改善せず
撮影の仕方や、カメラの設定に問題があるかもしれないと思い、いろいろなパターンを検証しました。
カメラ機能による影響調査
- すべてのAFモード(AF-S、AF-A、AF-C) → 影響なし
- すべてのフォーカスエリア(ゾーン、スポット、中央、トラッキングなど) → 影響なし
- 手ぶれ補正を「切」 → 影響なし
- フルタイムDMFを「切」→ 影響なし
- シャッター方式(メカニカル/電子シャッター) → 影響なし
- 画質(JPEG / RAW / ロスレスRAW) → 影響なし
撮影方法による影響調査
- 高速シャッター(1/4000)+ 三脚使用 → 影響なし
- F値を絞る → わずかに改善
- 天候(陽炎) → 影響なし(曇りでも同じ結果)
撮影距離による影響調査
- 近距離(5m未満) → 改善
- 中距離(5m~10m)→ わずかに改善
- 長距離(10m~)→ 影響なし
上記のようにカメラの設定や撮影方法を変えても特に改善はしませんでした。
唯一の傾向として、遠くの鳥を撮影しようとした時に症状が出やすいと感じました。
そのため、カメラまたはレンズの初期不良も疑い、ソニーのサポートに問い合わせようかと考えていました。
レンズプロテクター(レンズフィルター)が原因と判明
そんな折、価格comの口コミで「AFが微ボケしてしまうのですが」という投稿を発見。その中で「レンズプロテクターが原因かも?」という話題に触れられており、試しに外してみたところ、驚くほど写真が改善されました。
原因は、使用していた「MARUMI DHG Super レンズプロテクト 105mm」。
このフィルターを外した途端、ピントの精度がまるで別物に。ようやくレンズ本来の解像力を発揮できるようになりました。
MARUMI製品は今まで他のレンズでも使ってきており、個人的には信頼しているブランドです。今回のプロテクターにも傷や汚れ、不良品の兆候はまったくありませんでした。レンズとの相性の問題だったのかもしれません。


まとめ:解像感に違和感があれば、“プロテクターを外す”も試してみてください
今回の件で、プロテクターが思いのほか描写に影響することを実感しました。特に高性能な望遠ズームでは、わずかなガラスの影響が如実に出るようです。他のプロテクター製品ではどうなのか、試してみたいところですが、105mm径のフィルターは高価なため、まだ比較検証はできていません。
もし、FE 400-800mmで思うような描写が得られず悩んでいる方がいたら、まずはプロテクターを外してみることをおすすめします。
参考:レンズプロテクターを装着している時の写真
鳥の顔に合焦してもピントがわずか前後にズレているような写真が量産されました。体感95%そうなります。
下の写真は手前の地面にピントが合っていますが、そこもわずかに滲んで見えます。


集団でいる場合わかりやすいです。
合焦している鳥の前後の鳥にピントが来てしまいます。


動体の撮影も困難です。
比較的体長が大きく、撮影が難しくないような鳥でもピントが合いません。


カワウのように体長が大きく、かつ静止している簡単な状況でもピントが合いません。
おそらく後ろの波の方にピントが来ています。


参考:レンズプロテクターを取り外した後の写真
たまたま同じ場所で、同じ姿でダイサギが飛翔する様子が撮影できたので、比較のため掲載します。
顔を拡大してもきちんとピントが合っている様子がわかります。
また、ボケ方も溶けるように綺麗になりました。


もし今回のレンズが、望遠レンズとして初デビューだったら、望遠レンズとはこんなものかと納得し、気づかなかったかもしれません。
そう思うと少し怖いですね。