沖縄野鳥
沖縄野鳥

サシバ

沖縄でもっとも身近な猛禽類

私が野鳥を撮るようになったきっかけの鳥です。
あるアウトドアイベントの最中、頭上から「ピックイー」と鋭い声が響きました。
すると一緒にいた鳥に詳しい方が「サシバだよ」と教えてくれたのです。

当時、私は沖縄に来て10年目。きっと何度も耳にしていたはずなのに、これまで関心を向けたことがありませんでした。「サシバ」という鳥の存在を、その日、はじめて知りました。ここで、自分の身のまわりに“こんなにも飛んでいる鳥”のことを一切知らなかったことに深い衝撃を受けました。それがきっかけとなり、鳥について調べ、写真を撮るようになり、現在にいたります。

さて、サシバは秋田県以南では夏鳥として渡来し、低山や丘陵地帯の森林で繁殖する猛禽です。沖縄では秋の夜明けや夕暮れの冷え込みが深まる頃、大群で渡ってきます。特に宮古諸島は最大の中継地として知られ、多くの個体がここを経由して南へ旅を続けます。また、一部は沖縄にとどまり越冬するため、10月から4月という長い期間、その姿を目にすることができます。

渡りのルートは南西諸島

森の中で休むサシバ
森の中で休むサシバ - 2025.02.27 森(沖縄県国頭郡金武町屋嘉)

サシバはフィリピンやさらに南の地域まで渡るものもおり、春と秋の渡りでは南西諸島を経由するルートをとります。そのため、沖縄では春秋の渡りのシーズンになると群れで飛ぶ姿を目にすることができます。
これまでに知られているサシバの集団通過地点あるいは集団渡来地は、愛知県伊良湖岬、鹿児島県佐多岬、徳之島、宮古島、伊良部島、石垣島、西表島、波照間島、国外では台湾、フイリピンのバタン諸島があるそうです。それぞれの渡りには、いくつかのグループがあり同じグループは越冬地や繁殖地が決まっているそう。関東以北で繁殖した個体が南西諸島で越冬し、関東以南で繁殖した個体が南西 諸島を通過し最終越冬地のフィリピンあたりまで移動しているのかもしれなとのこと。

宮古島は沖縄で最大の中継地点で、宮古野鳥の会による「宮古島サシバ調査2024」によると、2024年の飛来総数は7,771羽だそうです。ちなみに、昨年より約5,000羽の減少したそうですが、お天気が続いたため、サシバが宮古諸島を飛び越えて石垣島や西表島に渡った可能性が考えられるそうです。

名前の由来

サシバの飛び立つ姿
飛び立つ姿 - 2025.03.01 森(沖縄県与那原町与那原)

名前の由来には諸説ありますが、「サシバ」は「差羽」「刺羽」と書き、一直線に飛ぶ姿に由来すると言われています。その名の通り、まっすぐ力強く飛ぶ姿は、遠くからでもすぐにサシバとわかる特徴的なものです。

沖縄でもっとも身近な猛禽類

住宅の屋根にいるサシバ
住宅の屋根にいるサシバ - 2025.03.02 住宅街(沖縄県南城市玉城奥武)
電柱(グランドワイヤキャップ)の上にいるサシバ - 2025.11.04 沖縄県南城市
電柱(グランドワイヤキャップ)の上にいるサシバ - 2025.11.04 沖縄県南城市

サシバは「ピックイー」と特徴的な鳴き声で鳴きます。鳴き声は季節を問わず聞くことができ、飛びながらも鳴くことがあります。
食性は主に蛇やトカゲ、カエル、昆虫、小型哺乳類などの動物食で、農地や草原、森林の端などを飛び回りながら獲物を探し、獲物を見つけて飛びかかり、足で捕らえます。

鳴きながら飛ぶサシバ - 2025.11.04 沖縄県西原町
鳴きながら飛ぶサシバ - 2025.11.04 沖縄県西原町

沖縄県外でよく見かける猛禽類といえば「トビ」が一般的ですが、沖縄では「サシバ」の方がより身近なイメージです。
山や森はもちろんのこと、街の中でも目にすることが多いです。

冬になると頭上を横切るサシバをよく見かける - 2025.11.08 沖縄県沖縄市
冬になると頭上を横切るサシバをよく見かける - 2025.11.08 沖縄県沖縄市

参考:

  • 植村慎吾「決定版 見分け方と鳴き声野鳥図鑑350」
  • 国立科学博物館「鳥〜ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系譜〜」
  • 高野伸二「フィールドガイド日本の野鳥」
  • 久貝勝盛「国内・国外におけるサシバの秋の渡りルートについて -標識調査・衛星追跡調査 data の解析―」
  • 環境省自然環境局野生生物課「サシバの保護の進め方」
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